【健康保険証の名前と性別】(2018年9月21日執筆)

Q  女性として生活しています。 しかし、性別の取扱いは変更しておらず、戸籍上の性別は男です。 戸籍上の名前は男っぽい名前のまま変更していないので、戸籍上の名前からは男だと思われてしまいます。 病院では、戸籍上の名前でなく、普段使っている名前で呼んで欲しいのですが、保険証の表面に、戸籍上の名前が書かれているし、戸籍上の性別の記載があるので困っています。

A 保険証の表面に通称名の記載をし性別も記載しないようにすることはできます。 [説明] 《名前》 名前については、【性同一性障害を有する人から通称名を書いてほしいと申し出があり、やむをえないと判断された場合】には、保険証の表面に通称名を書いてよいことになっています。 求められる書類としては、性同一性障害を有するかどうかを判断するために、①医師の診断書などの書類と②通称名が社会生活上日常的に使われていることが確認できる書類が必要です。
通称名が社会生活上日常的に使われていることが確認できる書類としては、通称名が書かれている学生証・社員証、通称名で受け取っている郵便物・公共料金の請求書などが考えられます。 保険証の表面に通称名を書いてよいとなった場合でも、保険証自体から戸籍上の名前を書かないでよいということはできないことになっています。 裏面に「戸籍上の氏名は○○」と書くなど、保険証のどこかに戸籍上の氏名を書く必要があります。 《性別》 また、性別欄については、【やむをえない理由があると判断された場合】、保険証の表面から戸籍上の性別の記載を無くすことができます。 なお、やむをえない理由の判断に、診断書は必須ではありません。 例えば、【性同一性障害の治療で精神科等へ通院していることがレセプト(診療報酬明細書)などの書類から確認できる場合】、【通院すらしていなくてもその人が性同一性障害者で性別が載ることに嫌悪感をもっていると判断できる場合】などには、診断書がなくてもよいということになっています。 ただ、やむをえない理由を判断できない場合には、診断書の提示を求めてもよいことにもなっています。 やむをえない理由があると判断されれば、保険証の表面から性別の記載は無くなり、表面には「裏面参照」などと書かれます。 そして、戸籍上の性別は裏面に書かれることになります。 残念ながら、戸籍上の性別を保険証自体から無くすことはできないことになっています。 《他にも対応して欲しい書類があるけど、認められませんでした。どうしたらいい?》 要望があることが伝わらないとなかなか変わりません。 すぐには変わらないかもしれませんが、困っていることを伝えることが重要です。
匿名で確実に声を届けたい場合には、
熊本県に対してであれば「知事への直行便」 https://www.pref.kumamoto.jp/chiji/hpkiji/pub/List.aspx?c_id=3&class_set_id=6&class_id=1302

熊本市に対してであれば「市長への手紙」 https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=6027&class_set_id=2&class_id=116 を利用することができます。
熊本市以外の市町村でも同様の仕組みがあるところがあると思います。 要望を伝えて、セクシュアルマイノリティも住みやすい熊本をみんなで実現しましょう!

《健康保険証の名前と性別について詳しいことが知りたい方へ》 詳しいことは以下のページを参考にしてください。 また、以下のページは厚生労働省によるものです。 例えば「どんな場合であっても通称名を載せることなどできない」などと断られたりした場合には、担当の方がこういった対応できることを知らない可能性があります。 以下のページを参照するよう伝えてみるとよいかもしれません。
・名前 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc_keyword?keyword=%E6%80%A7%E5%90%8C%E4%B8%80%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3&dataId=00tc3160&dataType=1&pageNo=1&mode=0
・性別 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/tsuchi/documents/tsuchi_376.pdf